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京都家庭裁判所 昭和50年(家イ)479号 審判

申立人 田中まり子(仮名)

相手方 ハンス・エル・ライアン(仮名)

主文

申立人と相手方を離婚する。

理由

一  申立人は、主文同旨の調停を求めた。

二  申立人の戸籍謄本及び相手方の外国人登録証明書並びに当事者双方の審問の結果を総合すると、次の事実が認められる。

(1)  相手方は、西暦一九三四年一〇月一一日ベルリンで出生し、昭和三八年頃学術研究のため来日した。申立人と相手方とは、昭和三九年五月から同居して結婚生活に入り、昭和四四年五月二〇日日本民法の方式に則り、京都市右京区長に対する婚姻届書の届出によつて婚姻した。

(2)  しかし、当事者間の婚姻生活は、申立人の職業上の理由から破綻をきたし、昭和四九年五月初旬双方了承のうえで申立人は相手方のもとを去つて別居し、現在に至つている。

(3)  そして、当事者双方は、離婚することを合意し、昭和五〇年四月二八日双方揃つて当庁に出頭して離婚の調停を申立てた。

三  上記認定のとおり当事者双方が一年余の間別居し、かつ、離婚に合意していることは、上記認定の婚姻生活の経過に照らし考えるとき、ドイツ婚姻法第四九条の離婚原因に包含されうるものと解することができるとともに、日本民法第七七〇条第一項第五号にも該当するものである。よつて、当裁判所は、調停委員竹田淳照、同御手洗月子の意見を聴いたうえ、法例第一六条により上記各法条を適用し、家事審判法第二四条第一項の規定により、主文のとおり審判する。

(家事審判官 福島敏男)

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